2025年、セ・リーグは早々と阪神タイガースがリーグ優勝を決め、そして先日、パ・リーグでは福岡ソフトバンクホークスがリーグ優勝を決めました。ここで多くのファンが注目するのが「クライマックスシリーズ(CS)」です。ペナントレースで惜しくも優勝を逃したチームにも日本一への道が残されているこの制度について、さまざまな思いを持つ人がいます。実際、ホークスファンの私は、「昔はリーグ優勝チームがそのまま日本シリーズに出ていたはず…」と感じています。
実際、うちは妻が阪神タイガースファンという事もあって、今年のシーズンに関しては「クライマックスリーズなんてなければいいのにね」ということで意見が一致してたりもします。
そこで今回は、クライマックスシリーズがいつから始まったのか、その歴史や導入の背景、現在の仕組みについて調べてみましたので、それをブログの記事にしてみます。
クライマックスシリーズは2007年からスタート
クライマックスシリーズがセ・リーグとパ・リーグの両方で導入されたのは、2007年からです。今ではすっかりおなじみになりましたが、導入のきっかけは、パ・リーグで先行して行われていた「プレーオフ制度」が大きな成功を収めたことでした。
当時、プロ野球界では、リーグ優勝チームが早々に決まってしまうと、残りの試合が「消化試合」となり、ファンの関心が薄れてしまうという課題がありました。そこで、シーズン終盤まで緊張感を保ち、より多くのファンに球場へ足を運んでもらうことを目的に、ポストシーズンゲームの導入が検討されたのです。
セ・リーグでの導入が決まった際、当初は「ポストシーズンゲーム(PSG)」という仮の名称が付けられていました。その後、ファンから名称案を公募し、1948通もの候補の中から「クライマックスシリーズ」という名前が選ばれました。
CSの前身、パ・リーグのプレーオフ制度
クライマックスシリーズの基礎となったのは、2004年から2006年までの3シーズン、パ・リーグで実施されていたプレーオフ制度です。これは現在のCSと同様に、レギュラーシーズン上位3球団がトーナメント方式で日本シリーズへの出場権を争うものでした。
この制度は、優勝争いだけでなく3位以内を目指すAクラス争いの重要性を高め、消化試合を減らすことに成功し、興行的に大きな成果を上げました。
しかし、新たな課題も生まれました。2004年と2005年の2年連続で、レギュラーシーズンを1位で通過しなかったチームがプレーオフを勝ち抜き、日本一に輝いたのです。この結果、「1年間の長いペナントレースを制したチームの価値とは何か」という議論が巻き起こりました。

これ、ホークスファンの僕は、超絶覚えてるよ。だって、2004年はレギュラーシーズンは1位:福岡ダイエーホークス、2位:西武ライオンズ。でも、日本一はライオンズ(涙)。2005年は、レギュラーシーズン1位は福岡ソフトバンクホークス、2位が千葉ロッテ。でも、日本一は千葉ロッテ。2年連続、ホークスファンはモヤモヤしたんだよねー
この議論を受け、パ・リーグは2006年から、レギュラーシーズン1位のチームに対してプレーオフで1勝のアドバンテージを与えるルールを導入しました。この年は1位の北海道日本ハムファイターズがプレーオフを制し、そのまま日本一に輝いたこともあり、この形式がセ・リーグにも導入される流れができました。

昔は、アドバンテージもなかったんだよね。。
導入後の変遷とルールの変化
2007年にクライマックスシリーズが始まってからも、より公平で面白い制度を目指して、いくつかのルール変更が行われてきました。
ペナントレース順位の扱い
2004年から2006年のパ・リーグのプレーオフでは、その結果がペナントレースの最終順位に反映されていました。しかし、2007年のクライマックスシリーズ導入以降は、ペナントレースの順位はレギュラーシーズンの成績のみで決まるようにルールが変更されました。CSは、あくまで日本シリーズへの出場権を争うためのトーナメントという位置づけになったのです。
ステージ名称の変更
当初は「第1ステージ」「第2ステージ」という名称でしたが、2010年からはそれぞれ「ファーストステージ」「ファイナルステージ」という現在の呼び方に変更されました。
アドバンテージの導入
最も大きな変更点の一つが、リーグ優勝チームへのアドバンテージです。実は、2007年の第1回大会では、ファイナルステージ(当時は第2ステージ)でリーグ優勝チームへのアドバンテージがありませんでした。
その結果、セ・リーグではレギュラーシーズン2位の中日ドラゴンズが、1位の読売ジャイアンツに3連勝して日本シリーズに進出するという出来事が起こりました。このことは、改めてリーグ優勝の価値をどう守るかという議論を呼び、翌2008年からはファイナルステージで1位チームに1勝のアドバンテージが与えられることになったのです。
CSがもたらした変化と議論
クライマックスシリーズの導入は、プロ野球の楽しみ方を大きく変えました。シーズン終盤まで3位以内を争う緊張感のある試合が増え、ファンにとっては応援する楽しみが長くなったといえるでしょう。また、興行的にも観客動員数やグッズ収入の増加につながり、球界全体を盛り上げる効果があったとされています。
リーグ3位のチームが日本一に輝いた2010年の千葉ロッテマリーンズは「史上最大の下克上」と呼ばれ、短期決戦ならではのドラマ性を象徴する出来事として語り継がれています。

このときも、リーグ優勝は福岡ソフトバンクホークス(苦笑)。。。
その一方で、143試合という長いシーズンを戦い抜いたリーグ優勝チームの価値が軽くなってしまうのではないか、という意見も根強くあります。特に、レギュラーシーズンで大差をつけられた下位チームや、勝率5割に満たないチームが日本シリーズに進出する可能性がある点については、公平性の観点から疑問を呈する声もあります。
実際、ファンの中でもCSの是非については意見が分かれており、スポーツナビが実施したアンケートでは、年代が若いほどCSの継続を支持する傾向が見られたという調査結果もあります。
まとめ
クライマックスシリーズは、2007年にパ・リーグのプレーオフ制度を基に始まり、今ではプロ野球の秋の風物詩として定着しました。(私は認めたくありませんが・笑)
消化試合を減らし、シーズン最後の最後までファンを楽しませるという大きな役割を果たしている一方で、ペナントレースの価値をどう考えるかという議論も続いています。
その歴史や背景を知ることで、短期決戦ならではの緊張感や、一つのプレーが勝敗を分けるドラマを、より一層深く味わうことができるのではないでしょうか。今年の秋も、どんな熱戦が繰り広げられるのか楽しみですね。